2013年2月25日月曜日

インドネシア:バリ島、Kintamani高原でアクシデント!


※2/17 バリ島の高原地帯の砂利道で、
バイクで転んでケガをしました。
幸い骨に異常はないので旅は続行します。
歩けますが、
深い傷を負った箇所もあり、
所々、筋肉も痛いです。
治療のためフライトを変更しました。
2/25日現在、少しずつ包帯も取れてきて、経過は順調です。
ご心配おかけします。

あちん







翌朝、バイクを借りた。
昨日色々話してくれた兄ちゃんのお姉さんがレンタルしてるというので、彼女から借りることにした。一日600円。





山に行く。
バリ島北部には東西に火山脈が広がっている。
火山脈っていうのは火山がいくつも連なっているということ。
高さも3000m富士山級のものもあれば、数百メートル程度の小さいのもある。
火山があるということは温泉がある。
温泉が最終目的地だ。



道は悪路とまではいわないが、ところどころコンクリートがえぐれていて、危ない。
スピードの出し過ぎは禁物だ。
通りの両側には工芸品の作業場が並ぶ。
そこを過ぎると、大きなお寺を中心とした村にでて、頭にかごを伸せて物を運ぶ人々を見る。(物売りじゃない)
そこを過ぎると段々畑が広がる。渓谷の斜面に重なる優雅な曲線に目を奪われる。
やがて視界は農園の青緑に埋もれる。
海抜は道を進むに連れて高くなり、気温は下がっていく。
霧が立ちこめる。涼しい。




Ubudから出発して1時間半でKintamaniという高地に着いた。ここからMt.Baturが見えるはずだが見えない。天気が悪い。全て霧の白に包まれている。
でもせっかく来たんだから行けるところまで行こう。

とにかく温泉に行こう。
今まで登ってきた方とは反対に山を下っていく。
湖が目の前に広がった。
ある程度下ると、結構晴れていた。
道を進む。
小さな集落にでた。
ここをもう少し行けば温泉だ。
デコボコ道をガタガタ行く
その瞬間。

!!!


  ここから先、結構グロテスクな描写があります。

滑った。
砂利道で前輪ブレーキをかけてスリップした。
左足が車体の下敷きになってる。
身動きが取れない。
周囲の人々がびっくりしている。
恥ずかしくてさっさと立ち去りたいけれど、
足が挟まって動けない。
人々が駆け寄ってくる。
誰かが車体を持ち上げたおかげで、足が抜けた。
動かしてみる。骨に以上ない。
挟まれていたくるぶしを見た。
ひどい。皮膚がえぐれている。
そこだけじゃない左半身所々血だらけだ。
肘もヒザも皮膚が火山の噴火口みたいにえぐれている。
血が溢れ出てくる。
あちこちしびれてる。

村人が目の前のカフェのイスに座らせる。
あっという間に10人の人だかりができた。
みんな傷口を見ては俺のわからない言葉をいって顔を引きつらせている。
ひどいんだ、見た目。
女の人がショウガみたいなのを持ってきた。
彼女が何を言っているのか分からない。
英語でコミュニケ−ションをとろうとしてくれているみたいだけど、
バリの英語は語末の音がよく消える。分からない。
トラジショナルメヂション
それだけ聞こえた。
Traditional Medicine 昔からこの地で使われる薬らしい。
他になす術なんかない。身を任せる。
彼女はショウガみたいなのを地面で擦って、おろし生姜みたくなったやつを傷口にぬる。滲みる!
左半身おろしショウガだらけになった。
大丈夫か、地面のばい菌入ったりしないか、心配だった。
でも、このクスリすごい。
あっという間に血が止まった。

(俺の緊急治療が行われた小さな村の商店。
ここに近所の人が来てクスリを付けてくれたり、
傷を洗ってくれたりした。)

傷は深いみたいだけど、骨も筋肉も問題ないので、ゆっくり運転して帰った。


翌朝、少し膿んできていたので病院に行く。
小さな町医者に来た。
傷を負った経緯を説明するがあまり伝わっていない感じ。
俺の英語が変なのか、相手が英語に慣れていないのか。
まあいい、来なさいという感じで奥に連れて行かれる。

地獄のオペが始まった。

ドクターは女性。
というかそこにいたスタッフはみんな女性。
かっこわるいとこ見せれない。
左半身全体に痛みを感じながらもそんな見栄は張ろうとする。

ドクターが鉄の容器に消毒液らしきものを注ぎだす。
そこに綿を浸し、ピンセットでつまんでそれを傷口に当てる。
これは痛くない。精製水か。
次に赤チンみたいなのを取り出した。
赤チンは滲みないやと安心すると、
これが滲みる!
赤チンじゃない。
次にガーゼでこすり始めた。死んだ皮膚を削っている。
刺すような痛み。

車体の下敷きになったくるぶしの傷が一番深い。
縦にいくつもの筋状の傷。
無色の膿が溜まっている、水でふやけた扇子みたい。
触ると柔らかい。
きっと生きた皮膚が残っていない。

ドクターの話を聞くと、どうやらここに砂が入り込んでいるらしい。
それを取り出すという。
想像するだけでぞっとする。
麻酔を2本打って作業が始まる
何が始まるのか分かってる。もう下は見たくない。
もぞもぞという感覚だけ感じる。
多分、ピンセットを突き刺して、傷口から砂をほじくっているんだろう。
イメージに全身がこわばる。

他の箇所に処置が及ぶ。
肘とヒザの噴火口。
そこにドクターが消毒液を押し付ける
痛い!
でも「痛い」なんて日本語で言っても、相手には伝わっていない。
分かってくれ、もっと優しくしてくれと「It’s painful」という。
彼女たちは一瞥もくれず黙々と作業を進める。
ごしごしと傷口を拭く。いや、削る。
もう自分が「人」ではなく、これから出荷される「肉」のように思えてきた。

痛くて叫ぶ。
もうここまでくると笑えてくる。
「いたぁうぃヒヒヒヒ・・・」
悲鳴と笑いがブレンドされて、変な声を上げる。
ドクターや看護士もつられて笑ってる。
痛みでその場のハーモニーをつくるなんて、俺は根っからのアーティストだ。

そんな処置を4カ所で受けて、治療は終了した。
治癒するのに浅いもので5日、深いのは2週間かかるという。
2日に一度病院に行かないといけない。。
でも幸い、旅は続けられる。

2013年2月24日日曜日

インドネシア:バリ島Ubud 空は毎日泣く。



前回の最後に英語について触れた。
俺の英語ってToeic450点くらい。
中学英語は完璧じゃない。
これでも十分旅ができてる。
英語でも早口の人や、なまりが強い人もいるから、うまく聞き取れないこともあるけど、どこかに出かけるのも困らないし、現地の情報収集もできる、そして旅の間に少し上達して外国人の友だちもできてきた。
英語が上手なのに越したことないけど、言語習得は上を見たらきりがない。
もしも言葉がネックで冒険できないなら、時間がもったいない。
秋葉原で5000円の中古電子辞書を買って旅に出よう。






さて、バスに乗ってUbudに着いた。
文化と自然が共存する素晴らしい町と元カノは言ってたけど、
最初の印象は全然違った
確かに歴史を感じる建築物が多く立ち並び、植物も南国特有の鮮やかさがある。
何がイメージと違ったか。

ここも客引きが多い。
バリのGDPの3分の2が観光関連の収入だ。
当然、クタやUbudといった観光地で客の争奪が激化する。
通りの土産物屋、バイクタクシーが通りをいく外国人に片っ端から声をかける。
土産物屋に並ぶ商品に値札はない。
中には正直な商売をしている人もいるけど、ふっかけられやしないか心配でなかなか手を出せない。
頭にかごを載せて布を売り歩くおばちゃんがいる。日本人女子大生が珍しがって写真を撮らせてくれと頼む。おばちゃんはにっこり笑ってポーズをとる。女子大生がシャッターを押すと、おばちゃんは女子大生の腕に布を載せ、布を買ってくれとせがむ。女子大生はバツが悪そうな顔で、聞こえない振りをして歩いていった。おばちゃんはあとを付いていく。
こんな光景を目にする。



俺もいいものは欲しいと思っているし、相応のお金も出すつもりではいるけれど、相場が分からないものには手を出せない。そこに客引きがいくら安いと言ってきても、こちらは警戒心を強めるだけ。
だけどそんな勧誘の波状攻撃に対しても、無視は良くない。フレンドリーにいこう。
それがきっとHappinessを俺にもたらす。

そうはいいつつ、18kgの荷物を背負って歩いていると次第に疲れて、正常な判断ができなくなってきた。そしてついに荷物を降ろしたくて適当なホテルに飛び込んでしまった。道で声をかけてきたバイクタクシーの運ちゃんに言われるまま付いていってしまったのだ。自宅を改装してホテルにしたからウチに来いという。その金額が予算内だったので、とりあえず見にいった。部屋は改装したばかりできれいだった。まあいいやとそこに決めると、元の金額に消費税10パーセントを要求してきた。1000円の10%だからたったの100円なんだけど、最初に言われるのと言われないのでは違う。それだけで信用は少し揺らいでしまう。
まあいい。学んだ。授業料だ。

気を取り直して町を歩く。腹が減った。
脳みそに糖分が欲しい。





クタやUbudには、おしゃれなレストランやカフェがたくさんある。そういうカフェが日本の3分の1くらいの価格で楽しめる。
例えばそういうおっしゃれ〜なカフェで食事をすると、メインと副菜とフレッシュジュースを頼んだとしても600円くらい。
でも、もっと安くておしゃれなところもあるので、カフェ巡りで一日過ごしても楽しいだろう。


でも、俺が探しているのはそんなおしゃれなところじゃなくて、地元の人が行くようなレストラン。
だから、一応300円程度を一食の予算で考えている。
そうするとなかなか見つからない。
結界を張られたみたいにメインストリートのカフェやレストランは入れない。
腹減った。
そんな風に町をふらふら歩いていると、おでこに冷たいものを感じた。




雨だ。
雨は最初ぽつぽつと、次第に強くなる。
最後にはもの凄い音をたてて降り出した。
あっという間に深い水たまりができる。
バイクや車は水の翼を広げて通り過ぎていく。
すげぇ。これがインドネシアだ。
あんな雨一度も見たことがない。
空はよくもこんなに泣けるもんだ。
雨に触ってみる。水は温かい。
日本の夏に降る雨みたいだ。

雨宿りをした。
近くにあったガードマンの待機小屋に入り込んだ。
そこにいたバリの民族衣装を着た兄ちゃんがいた。
今がチャンスとばかりにレストランを聞く。
お互いカタコトの英語だけど話が弾み、あれこれ聞きまくった。
彼は一つ一つ丁寧に説明してくれた。
ここの段々畑がきれいだとか、本当にお勧めのスポットはどこだとか、地元人のみ知る温泉や民芸品の工房、そしてどの地域に足を運べばぼったくりにあわずに買い物ができるかまで。バリのヒンドゥ教についても話してくれた。

雨がやむと、飯を食った。
兄ちゃんおすすめの地元の人もよく行くところ。
安くてうまい。たらふく食って180円。
これが俺が旅に求める味なんだ。
ナシゴレンをかき込みながら、明日の作戦を練った。
明日、バイクを借りよう。
山を見に行こう。