インドネシア：バリ島 「また、地球のどこかで会いましょう」

バリを離れる3日前、Melaneaというフランス人女性が俺の部屋の向かいにやってきた。
俺たちはお互い絵を描くので、すぐに仲良くなった。
彼女の英語は凄まじいフランス語のアクセントで、語末の子音が消える。
Hを発音しないので、分かりにくいことがよくある。
そんなことを言っても俺の英語も同じようなものなので、一緒に英語の勉強をしたりして時間を過ごした。なんだかんだ俺がバリを発つまでの間、3食をほとんど共にした。

彼女はフランスのブルゴーニュ地方の出身でカトリック系の学校を出ている。
一年クアラルンプールで働いた後、仕事を辞めて旅をしている。
インドネシアの島々を船で渡ってバリに来た。
フランス人らしくおしゃれな人で、食べるのがきれいでゆっくりだ。

(テーブルマナーを教わっていることろ。

師曰く「食べやすさよりもエレガントに見せることが大事なり」)

俺は日本人同士で固まって旅をするよりも、外国人や地元の人と接して、自分の知らないことに触れたり、その人の国についてあれこれ聞くのが好きだ。

（ときどき、寂しくなると日本語の通じる話し相手を探したりするけど・・・。）

自分にはない価値観に触れるのが楽しい。

新しい価値観に触れると、頭蓋骨で破裂音がして、パーンと世界が広がるのを感じる。

フランスの移民について、Melaneaと話したことがあった。
フランスは近年、不安定な中東情勢の影響でアラブ諸国からの移民が増えている。

入植者のなかにはフランス語を話せない人も多い。

やはり元のフランス人とイスラムの移民の間には壁があるらしい。

Melaneaも、フランスは信教の自由は認めていたとしても、伝統的なカトリックの国だから、このままイスラム系の移民が増えていくとどうなるんだろう、と心配している。

色々な国と国境を隔てるフランスは、国境周辺の地域で人種がミックスされてきた。

戦争の歴史にまつわるのもあって、差別に結びつくこともあるらしい。

過去100年の戦争はヨーロッパでもまだ尾を引いている。

俺はフランスが多文化共生で先を行く国だと思っていた。

実際そうなんだろうけど、そこに住む人々の話を聞くと世界の複雑さを改めて思い知る。

出発の朝が来た。

朝は病院で治療を受け、その後バリ滞在中毎日のように通ったカフェで昼飯を食う。

Dayu's Warung

ここにはヨガをする人たちが集まっていて、ヘルシーでおいしい料理が地元価格で食べられる。オーナーのDayuさんがとてもフレンドリー。

HelenもMelaneaもここに連れてきた。

10種類くらいあるここの特性ミックスジュースがおすすめ。

バリのUbudに行く人がいたら連絡ちょうだい。

詳しい場所を教えるよ(^^)

さて、Melaneaとハグをして別れ、送迎車で空港に向かう。

送迎車の隣に座ったロシア人女性と仲良くなったOlyaという。

彼女はロシア人。鼻筋の通ったものすごい美人だ。

(写真なくてごめん！)

きれいな人の前だとよくこんなに舌が回るもんだと自分でも感心する。

つたない英語にも関わらず、話は盛り上がる。
Olyaをころころと笑わせているうち、バスはあっという間に空港に着いた。

彼女はクタにもうしばらく滞在するのでそのままバスに乗っていってしまった。
彼女も旅をしている。そのうちタイに行くので、タイミングが合えばまた会おうと連絡先を交換した。

バリではリラックスできた。

旅行者同士がすぐに仲良くなれる雰囲気がある。

そういう人が集まるのか。

この島がそうさせるのかは分からない。

バリでたくさん友だちができた。

飛行機の中ではマレーシア人のグループとも友だちになった。
彼女たちはムスリムなんだけど頭に布を被らない。
酒も飲む。
一日遊んだら面白い話が聞けそうだ。
Facebookで連絡を取り合ってるので、日本に発つ前にもう一度会いたい。

旅人同士のさよならはさっぱりしている。
それぞれの旅があることを知っているから。

いつかまたお互いの人生が重なることがあるだろう

そんな意味を込めて、
「では、地球のどこかで。」

それが旅人のさようなら。