2013年3月25日月曜日

カンボジア:シェムリアップ 英語で活きる

タイに滞在中ほぼ毎日医者に通った。
午前中病院に行って、午後は出かける、というのを繰り返していた。
バリで負った傷は2週間過ぎても、3週間過ぎても良くならなかった。
少し焦っていた。
このまま治らなければ、旅に差し支える。
旅の充実度がグンと減る。
だから、少しでも早く良くなるように毎日医者に通った。
予約した時間に病室に行くと、医者が傷口のガーゼをとって傷をほじくった。
悪くなった皮膚を切り取って、再生を早めるためだ、と。
毎日訪れる痛みの時間。
我慢して耐えた。
早く全開で旅に臨むためだ。
俺は治療が終わる度に、治癒するのにあとどのくらいかかるか、医者に聞いた。
医者の答えは毎日違っていた。
毎日、医者が変わっていたんだ。
俺は毎日英語で同じ説明をして、同じ質問をする。
医者が返す言葉はそれぞれ違う。
だんだん不安になって、いらだってくる。
一週間ぐらい通い続けた後で、病院に行くのを止めた。
タイからも離れる事にした。

4つ目の国はカンボジア。
アンコールワットを目指す。
朝8:00のバスでバンコクを出た。
一緒のバスに乗っていたのは、アメリカ人、ドイツ人、オーストラリア人、日本人、イタリア人、イギリス人。
俺の英語は上達している。
道中彼らとの英語でのコミュニケーションに困らず、ひどくモタつく入国手続きを待つ間も、他の旅行者と楽しく過ごせた。
多分、病院で必死でやり取りをしていたのがよかったんだろう。
ケガが英語の上達につながるとは「塞翁が馬」だね。

(カンボジアの国境を越えてすぐに目に飛び込んできた山積みの荷物を運ぶ車両。)


(ず〜と地平線を両側に見ながらの移動。
この景色が国境を越えてから4時間続く。
地平線はずっと見ててもあきない)
長い道のりだった。
13時間かかってようやくシェムリアップに着いたのは夜9時。
辺は暗い。
バスを降りるとトゥクトゥクのドライバーが群がってくる。
行き先を告げると明らかに高額な料金を吹っかけてくる。
交渉しても値を下げない。
あたりは暗く、俺たちは土地勘のない外国人。
こちらの足下を見ている。
いいよ歩くから、と彼らを振り切り、今まで乗ってきたバスのドライバーに道を聞くと、知らないからトゥクトゥクに聞けと言う。
グルだ。
そう言えば、バスの休憩回数が予定していたよりも多かった。
そのせいで到着が3時間遅れてる。
何かで読んだことがある。
到着を遅らせて、マージン契約のあるホテルに客を送り込もうとする、チームプレーみたいなのが存在する。
多分それだ。
相手がこちらをカモとして見るなら、もうフレンドリーになる必要はない。
しっかりしないとズルズルぼったくられていく。

相乗りできそうな他の旅行者を探す。
同じ方角に向かう人を見つけると、すぐにドライバーが声をかけてきた。
彼の言い値は500円、おそらく相場の三倍。
それを一人ずつ払えと言う。
日本人に払えない金額じゃない。
だけど、彼らはその金額を欧米人には提示しない。
それが悔しかった。
日本人は英語で交渉できないから、吹っかけるだけ払うと思われている。
200円まで値切る。
これでも現地価格に比べたら大盤振る舞いだ。
当然相手は首を横に振る。
こんな交渉をしてみた。
「周りを見てごらんよ。旅行者とドライバーどっちが多い?ドライバーだろ。この金額でも現地価格よりはいいはずだ。この金額で行けないならあなたには頼まないよ。他のドライバーに頼む。あなたはまた別の客と交渉を始めるんだ。きっともう旅行者を乗せたバスは来ないだろうから、この状況だと客を逃して今日は終わりだろう。どうだい?」
ドライバーはしょうがないといった表情でOKした。
ドライバーはトゥクトゥクを走らせながら、俺が行く宿はいっぱいだから、彼が知る宿に行こうと誘ってくる。
彼の提示した宿の金額は安くていいんだけど、運ちゃんに言われるまま着いていってバリで嫌な思いをしていたから、敬遠した。
とにかく俺が指定した宿に向かってくれるように頼む。

目的地に着くとドライバーと少し話した。
根はいい人だ。
やはり「円」がもつ魔力が、ときどき彼を変えてしまうのだと思う。
ざっくり値切って悪い気がした。
彼の生活は苦しいんだ。
ドライバーはすぐそばにいた菓子売りからひと掴みの菓子を買うと、一つどうかと差し出した。
手の上にのっていたのは「ゴキブリフライ」だった。
あまりに急なおすすめで食えなかった。
なのでゴキブリの味はリポートできない、ごめん。

始めて日本人宿に泊まってみた。
アンコールワットは今回の旅の目玉なので、母語で丁寧にプランニングしたかった。
玄関脇にある食堂に大勢日本人がいる。
ほとんど大学生くらいの年齢だった。
久々の日本語。
ビールを頼んで、向かいに座っていた人をつかまえて話し込む。
舌が止まらない。
日本語が恋しかった。


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