2013年3月28日木曜日

カンボジア:アンコール遺跡 文明と自然

シェムリアップを訪れる観光客がアンコールワットで朝日を見るのが慣例らしい。
5:00に宿を出て5:30の朝日を見るという日程。
全日は夜遅く、タイからの移動の疲れが残っていたので、少し考えたけど、アジア旅の残日数が限られていたので、がんばって早起きした。
バイクタクシーをチャーターして遺跡を一日めぐる。
俺が後ろに座った合図をすると、ドライバーが2,3歩地面を蹴って、俺たちを乗せたバイクは道路を走り出した。
カンボジアの朝の空気は冷たかった。


宿から約7km移動してアンコールワットに着く。
辺りはまだ暗い。
懐中電灯で地面を照らす人もいる。
俺は懐中電灯を持ってこなかったので、他の人の光を辿ってに本堂がある中へと進む。
たくさんの観光客が同じ方向に歩いていく。
いろんな国の言葉が飛び交っている。



俺が朝日スポットに着いたころには空が色付いてきていた。
すでにそこには大勢の人がご来光を待っている。




5:30を少し回ったころ、アンコールワットの背後から、太陽が顔を出した。
周りでシャッターを切る音が止まない。
俺は今、アンコールワットにいる!!!





アンコール遺跡は9世紀から15世紀までこの地で栄えた「クメール王朝」の各時代の王によって築かれた。
オートバイで回っても一日かかるほどの広大な土地にいくつもの遺跡が存在する。
まだその全貌は明らかになっていない。
王が変わるたびにこうした建築物を建てていたというから相当の数があるんだろう。
あるものは寺院として建設され、あるものは都市機能を備えていた。


各遺跡には細密な浮彫りが施されている。
しかしこうした細部の装飾は王が変わると中止になったので、ところどころ未完成だったりする。
こうした装飾は宗教的な意味を持つものと、当時の生活風景を描いたものがある。
この王朝は何教だったかというと、仏教だったり、ヒンドゥ教だったり時期で別れる。
その時の王によって仏教になったり、ヒンドゥ教になったりするので、遺跡を見てみると、両方の宗教のエッセンスが混在している。

☆有名な遺跡、年代順
ベンメリア:11世紀後半から12世紀前半(寺院)

アンコールワット:12世紀前半(寺院)

アンコールトム:12世紀後半(都市)

タプローム:12世紀後半(寺院)

クメール王朝は9世紀に興り、12世紀後半で最盛期を迎え、1431年にタイ人に侵略されて終わる。当時のクメール人は南に逃げて、そのまま戻らなかった。
この時、持ち主のないクメール王朝は「遺跡」になった。
アンコール遺跡を歩くと、建築物よりも、自然のもつエネルギーに圧倒される。
特にタ・プロームとベンメリアの、樹齢300年の巨大なガジュマロが遺跡に絡む光景は凄まじい。

「盛者必衰の理」の通り、文明は消えた。
その後、自然がここに繁茂し、支配を始めた。
現代の人間はそのアンコールを再発見し、遺跡を前に議論している。
「アンコールのガジュマロは遺跡を握りつぶそうとしているのか、遺跡を包み込もうとしているのか」
破壊の過程なのか、共存の過程なのか。

その場に立つと、遺跡に絡み付くガジュマロが、おもちゃと遊んでいるように見える。
自然が大きく、文明が小さく見える。





1 件のコメント:

  1. このコメントはブログの管理者によって削除されました。

    返信削除