2013年3月15日金曜日

マレーシア:ペナン島 マレー鉄道 前編



バリ島からマレーシアのチャイナタウンに着いたのは夜中だった。
ホテル選びを失敗した。
ホテルの雰囲気は薄暗くて、陰気。
相部屋の人たちにおはようと言っても返事が返ってこない。
旅の疲れが増してしまった。
宿を選ぶときのポイントはスタッフの人柄だと思う。
宿泊客に喜ばれている宿はスタッフの表情にそれが出る。
逆も然り。
フロントの変なムードに気づくべきだった。




翌日のam6:30
クアラルンプール23:45発の寝台列車で、6時間かけてButterworthという港町に着いた。
ここからタイのバンコク行きの列車が出ている。
あの有名なマレー鉄道だ。
列車がButterworthを出るのが8時間後。
近辺を観光するのに十分な時間がある。
しかしButterworthには何もない。
フェリーでペナン島に渡ることにした。
ずっと山間にいたので、海が恋しかった。



(食事はいつも地元の人が来るような場所で食べている。
Butterworthではbreakfastをバスの運ちゃんが仕事前にくる屋台街で食った。
写真は薄焼きのナンとカレーを出す店。
おっちゃんは一枚一枚丁寧にナンを広げて鉄板で焼く。40円)



フェリーから海を見ると開放的な気持ちになった。
フェリーは15分ほどでペナン島の港に着いた。
ペナン島はイギリスの植民地だった影響で全体的に町が白い。
海と空の青によく映える。
海沿いをテクテクと歩いて公園をさがす。
20分くらい歩いて公園を見つけた。
木陰を見つけてギターケースを開く。
一週間ぶりにギターを鳴らす。
南国の風景とナイロン弦の音は相性がいい。
ときどき人が立ち止まってはまたどこかに流れていく。
人々はのんびりしている。
海沿いで暮らす人々には「どうにかなるさ」というおおらかさがある。
俺はこういう人の集まる場所に来ると、ふっと肩の力が抜けて、息がしやすくなる。
新宿で育ったくせに、都市の喧噪の中では深く息を吸えない。


(ペナン島、海の見える公園。
なんだろうなんか寂しい絵だね。)


うっかり時間を忘れてしまい、時間ギリギリにButterworthの駅にもどった。
フェリーに乗り遅れそうになって走ったので、くるぶしの傷が開いてしまった。
包帯の下に血がにじんでいる。

列車はまだ来てない。
アナウンスが列車の遅れを告げた。
待合室は人が密集していて窮屈なのでホームで待つ。
そこはのどかな田舎駅だ。
さびた車両が止まっている。
もう何年も動いていない廃墟のような雰囲気を醸している。

列車が予定よりも40分遅れて駅に到着した。
人と荷物が乗り込む。
22時間の旅をするために誰もが大きな荷物を持っている。
発射ベルが鳴って列車がゆっくりと動き出す。
「一度でいいからマレー鉄道に乗ってみたい」と誰かが言っていたのを思い出した。
俺は、彼の夢の鉄道に乗ってるんだな。

線路近くの景色は速度が上がるにつれて無数の線になって流れていく。
列車が開けた土地に出ると大地の大きさに言葉が出なかった。
鉄道の旅には確かにロマンがある。

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